闇夜の逢瀬・・・時をとめて (vol. 100)   この夜の月影に
私も隠されてしまおう

君は漆黒の中にだけ体をやすめ
心の衣(きぬ)を脱ぐのか・・

光の中では私は息を潜め
真実の歌は歌えない

闇に映る君の姿見て 私は
この闇にすべてを委ねる

一夜(ひとよ)限りと許される言葉たち
闇の中で密やかな生を賜る

一秒 一秒がとても大切なのに
嗚呼・・
闇の時間は追いかけても掴むことができない
まして・・
溜息の数だけ時計の針を進めてしまう

選ぶ時も知らないままに
言葉だけは哀しくリズム打つ

この時計はまだ・・
闇の時間を計っているのだろうか

君の落胆の微笑みが
狂おしく辺りを染めるころ

ふたつの言葉は重なることもなく
そのまま闇に抱かれ
それぞれの時間へ戻ってゆく

闇夜だけが
ふたりの逢瀬

月影に木の葉が揺れる
待つ身が揺れる・・・

置き去りにされた言葉たちの
虚しい鳴き声が木霊する


2004/7/6
*Thanks*
photo by hemitonium