ふたりの海 -09- 車を走らせ
秋の午後を遊ぶ
誰も居ないヨットハーバー

潮風が夏の思い出を蘇らせる
長くなった髪の毛が顔にあたる

こっちにおいで
波打ち際の彼が
笑顔で手をふる

ラジオから流れるジャズピアノに
耳を傾けながら
わたしも笑顔で頷く

潮の香が
幸せを優しく遠ざける

わざと聞こえない声で
名前を呼んでみる
軽い後悔と僅かな涙

手をふり笑顔を作りながら
夏の終わりを感じてる

潮風が
ふたりの距離を作り
ふたりの夏が終わる