潮騒に・・・紫のおもいで  (vol. 94) 風の中で  ふと
誰かに
呼び止められたような気がして
あの懐かしい空間まで
時を戻してしまいました

かわいらしい貝殻が
次からつぎ
あなたの両てのひらに乗せられて
ひとつひとつが
魔法のように
眩しい煌きを放っていた

時は止められたままに
風の音が耳元で揺れる

遠い島影の向こうに
記憶のモニュメントを浮かべてみる

かなたに見える幼子が
白く長い砂浜を
声を立てながら走ってくる

あれは 遠い日の私
あれは 遠い日の 紫のまほろば

優しかった祖母との思い出にあそぶ
夏のはじめの潮騒を聴きながら・・
2004/6/14 *Thanks*
photo by おしゃれ探偵